南紀白浜、熊野街道一周ツーリング後編
さて、気分よく国道42号線を串本町まで走り最終目的地である潮岬に到着します。
関西最南端、この島は一周できるのです。
特に見所はないがのんびりと走る事が出来る。道幅も広く走りやすいがカニがそこらじゅうに徘徊しているので
あまり攻め込むのは危険であるな。もしバンク中に踏んでしまったらそのままこけてしまうかもしれない。
一応展望や絶景とまではいかないが景色の良いスポットがある。
ここが関西最南端なんだなぁ・・・、と心に感じながらゆっくりと進む。
さて、これで今回のツーリングのポイントは全て押さえたので後は帰るだけです。
帰るだけと簡単に言いましたが、まあ帰路にはどえらい距離がありますよ。
結構疲労も溜まっていたのでコンビニによって非常食の買出しとルートを調べます。
予定ではこのまま42号線を走り伊勢湾自動車道を乗り継いで新名神という感じです。
が、何を思ったかいらぬ事を考えた管理人、近道はないかと地図を見るのです。
ルートは幾つかありました。
1、県道43号線を経由して十津川温泉に出て帰るルート。
2、42号線を走り309号線を経由して169号線で帰るルート。
後は予定通りのルート。一番距離的に近いのは県道43号線を経由するルート。
2のルートは渋滞が予想される42号線をしばら走らなければならない。
1はスピードは出ずとも空いていて距離が一番短い県道を走れるのだが大きなリスクもある。
道のコンディションが分からないと言う事だ。過去にマイナー県道で酷い目に合っているのでこのルートは結構なリスクがある。
しかも経験上、近くに国道が並行して走っている場合の県道は車がほぼ通らないので道があれて半林道状態となっている事が多い。
ここでしばらく考え込むが出た結果が1のルート。
結局距離が近いのと管理人の根っからのマイナー県道好きという性格がそうさせたのだ。
いろんな県道を走ってみたい!!と常日頃頭の片隅にある。根っからのマイナー県道マニアであるのだ。
そして1人マイナー県道に向かうブラックバードであった。もちろん他のライダーや車は皆無。
まあ、マイナー県道らしいと言えばそうだ。
この辺りは路面状態も良く走りやすかった。それはこの先に村があるからで、問題は村を越えてからが問題なのだ。
こんな時はどちらかと言うと不安ではなく、期待感の方が多い。この県道はどんな顔を見せてくれるのか?
こうしてどんどん山奥に突き進んで行く。とある広場で休憩する事にした。
ここで非常食を頂く事にする。もう日が暮れそうだ。タイミング的には悪いなぁ。
ここは村を越えてすぐの場所。村を越えると極端に交通量が減るので路面が荒れていることが多い。
言ってしまえば、誰も通らない道なんて整備する必要はない、と言う事だ。これは感ではなく経験上のこと。
この先くらいから路面が荒れだすのは目に見えていたのでタイミング悪いなぁ、と言う事だ。
そして夕暮れをバックにどんどん山頂へと向かって行く黒鳥。聞こえはいい感じなんですけど・・・。
日が完全に落ちきったと同じくらいのタイミングで急に道幅が狭くなり路面が荒れだした。「来たか・・・」と覚悟する管理人。
だが最大の試練が管理人を満ちうけていたのだ。
写真では他の県道と大差ないように見えるが、ここの路面は酷い!いや過去最高クラスで酷すぎる!!
もはや林道とも呼べる酷さ。真っ直ぐ走れないので両足でバランスを取りながらクラッチを使っての低速走行を余儀なくされる。
真っ直ぐ行こうと思えば行けるがパンクが恐い。こんなとこでパンクしたらもう諦めて寝るしかないでしょう??
もはや管理人は半泣き状態。いや実際泣いていたかもしれない。Uターンしたくてもそれすらも出来る状態ではなく。
超低速走行で熱風と不安に耐えながらノロノロ進んでいく。
クラッチも多用しているので次第に手も疲れてくる。おまけに当たりは真っ暗。
淡路島の妙見山大塔峠?そんなもんここに比べたら遥かに走りやすい。
しかもたちの悪い事に道が無数に枝分かれしているので、もはやここが正解のルートなのかすら分からないね。
こんな道をおそらく30分くらい走り何とか村に辿り着きます。村といっても家が一軒あっただけですが。
そして半泣き状態の管理人にとって救いの天使とも言える女性が現れたのだ。その家の前に車が止まっていたのだが、
中に若い女性が乗っていたのだ。すかさずバイクを停め「こんばんは〜」と声をかける。
「すいません、ちょっと道をお尋ねしたいんですけど」
「あ、はい!どうされました?」
するとこの女性は笑顔で嫌な顔を一つせず答えてくれたのだ。
本当に天使のようだった。もしかすると惚れてしまったかもしれない。
・・・それはないか。
「実は道に迷いまして。京都に帰るんですけど、十津川村方面に抜けたいんです。どう行けば良いですか?」
質問した自分に笑えてきた。この人はこっち方面からバイクが来るなんて夢にも思っていなかっただろう。しかもこんな時間に。
で、何を言い出すかと思えば十津川村方面に行きたいって??ありえねーわ、普通(笑)
「ここからでしたら新宮市に抜けて42号線に出る方が良いと思います」
「十津川に行く道は止めといた方が良いですか?」
「通ったこと無いんですけど、道が狭くて荒れてるって聞きました。ここから新宮市ならこのまま県道を行って・・・」
「いろいろ親切にありがとう。助かりました」
「はい!道中気をつけて下さいね」
とても丁寧に教えてもらえました。なんと優しい女性なのでしょうか。しかも結構可愛かったし。
普通に出会いたかったです、はい。
この人のおかげでバカな選択をせずにすみました。ありがとう!
あのまま十津川方面に進んでいればどうなっていたのでしょう??
昼間ならまだ問題なかったと思いますけどね。
今までの道が更に十津川まで続くと予想されるので、さすがの私も回避する事にしました。さすがにそんな精神力は無い。
そしてアドバイス通り新宮市に向かいます。
話では30分くらいで行けるとの事でしたが、結構飛ばしているのになかなか山を下りられません。
30分キッカリ経った頃にようやくふもとの町に着きました。
あの人、可愛い顔してどんだけ飛ばしてんねん??
知らない道とはいえブラックバードが結構飛ばしてこの時間だったのに・・・。
ま、管理人が下手糞だったと言う事にしておきましょうか。
新宮市に着いた時には既に20時を回ってました。何と言うことか!?2時間以上のタイムロスです。
こっれはやばい。帰宅はおそらく日付が変わり2時位になりそうな予感・・・。
ここからはあまり記憶がなく、強いて言えば追い越しの鬼になっていたと言う事でしょうか。かなり飛ばした記憶があります。
普通に考えて日帰りツーリングで20時に和歌山県の新宮市にいるって頭おかしいですよ。
予定ではこの頃には伊勢湾自動車道に乗っているはずだったのにね。
でもこのアクシデントのおかげで素敵な女性に出会えました。もう一度会いたいなぁ。
で、何とか伊勢湾高速に辿り着いたんですよ。時間は忘れましたけど10時位にはなっていたでしょうか。
一つ目のPAまでもちろん飛ばします。そこで最後の悲劇が待ちうけているとは、さすがに思いもしなかったですね〜。。。
PAに入りトイレから出てくると外でおっさんがゲロを吐いてました。
4月花見の真っ盛りの季節なのでいい歳して飲みすぎたのでしょう。
で普通にスルーして通り過ぎようと思ったら、何とその奥さんらしき人に声を掛けられてしまったのだ!?
「すいませ〜ん、この人こんなに酔っ払っちゃって・・・。手を貸してもらえませんか?」
最後の最後ベロンベロンのおっさんの介抱をさせられる始末。断る理由も無かったのでOKしました。
いや、嘘です。おっさんなんかの肩を持ちたくなかったです。
だって若い女の子でもなければ魅力的な女性でもない、ただの酒臭いしかもゲロつきのおっさんですよ?
まあ、酔っ払いの介抱なんて女でも嫌ですけど。
おっさんに肩を貸すと「すまんな、にーちゃん!!でもひとりでたてるわ〜」とおっしゃったので肩を戻すと、もちろんフラフラ。
でまた奥さんの手の中に戻ります。奥さんももう迷惑と思ったのか管理人に礼を言うと、インポテンツな旦那を抱えて行きました。
何とか一大事を乗り越え無事に帰宅する事が出来ました。
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