気配


昔働いていた工場での出来事。誰もが名前を知っている有名な会社で働いていた時の事です。

広大な敷地の中には工場がいくつもありとにかく大きな職場でした。私の職場は仮にA工場とします。ですがたまに応援と言う事でB工場に応援に

行く事もしばしば。この体験をしたのは初めてB工場に1ヵ月間応援になった時のこと。

最初は不慣れで教えて貰いながらの作業だったが、1週間もすればB工場での仕事も少しは慣れ1人で作業し始めます。

仕事に人間関係にとようやく慣れ始めたためか徐々に気が付く事がありました。工場内には沢山の機械がありもちろん人も多く物音も激しい

のだが、やたらと視線を感じるようになって来たのだ。人が多いと言っても自分の受け持つ機械の周りには誰もいないので

実質1人のような物なのですが・・・。仕事に集中しますがどうしても視線を感じてしまいます。

しばらくは気にせずにいましたが、ある日また視線を感じたかと思うと何やら人の気配を感じるようになって来たのだ。

振り返るがそこには誰もいない、と言う事が何度も続きました。

そこでB工場の人(仕事を教えてもらった先輩)と話している時に何気に視線と人の気配の話をしてみたのだが、驚くべき答えが返って来たのです。


「えっ、やっぱり人の気配を感じるん?OO君の使ってる機械の周辺は人の気配をよく感じるらしくて。俺も実際にそうだし」

「先輩から聞いた話だけど、なんでも昔この機械使ってた人が自殺みたいで・・・。関係あるのかもね」


と真顔で申されました。このB工場では結構噂になっているみたいでした。この話でゾッとしたのは、話を聞いてから人の気配を感じたのではなく

気配を感じてからこの話を聞いた事。この先輩の言っている事(自殺)は本当でしょう。その自殺と私の体験が関連しているかどうかは

分かりませんがね・・・。さすがの心霊話好き管理人もこの話の深追いは止めておきました。