羅将ヒョウの大失態
カイオウが自分の妹でありヒョウの婚約者であるサヤカを手にかけたのはご存知であろう。
これはカイオウが北斗宗家を滅ぼさんとうった罠だった訳だが、あまりにも単純過ぎる罠であると誰もが思ったことだろうな。
が、その単純明快な罠にいとも簡単にはまってしまった修羅の国第二の羅将ヒョウ様。
カイオウ「このカイオウの留守に北斗神拳のケンシロウと言う男が」
ヒョウ「な、なに、ケンシロウが!?」
カイオウ「それにしても北斗神拳とは腐りきった拳よ・・・」
と続く訳なのだが、ヒョウはここでおかしいと気が付くべきだろう。
ヒョウはカイオウの城に来るまでにシャチを交えてケンとの絡みがあった。この時にヒョウは例の死体がケンと気が付いた。
まあ気が付いたけど、我が兄弟はカイオウとハン。ケンシロウは北斗琉拳に楯突く敵、と言っていたが。
自分が城に向かっている時に殺されたサヤカが、まさにその時に死体となっていたケンに殺せるはずがない。ケンのアリバイは確実なのである。
カイオウ「許せヒョウよ。このカイオウが付いていながら。北斗神拳のケンシロウはこのカイオウが倒してお前に詫びよう」
ヒョウ「あなたの手は借りぬ!!」
とヒョウが言った瞬間、カイオウは「よしよし」と言わんばかりの顔で目を光らせた。
確かに恋人を殺されて怒り狂う気持ちは分かるが、カイオウのこの顔で少しは気が付けよと思う。どう見ても怪しい。
こんないやらしい顔見たら誰だって怪しむぞ普通。仮にも修羅の国第二の羅将なんだから・・・
極め付けがサヤカの葬儀の時だ。豚修羅のギョウコ様が隼号で葬儀に乗り付けた時の事だ。
ギョウコ「ケンシロウが、カイオウ様にお伝えしろと。この俺に二度の敗北はない、などと」
カイオウ「・・・・・・・・・・・・・・・・」
沈黙のカイオウ。この時のカイオウのリアクションを見ても分かるように、カイオウは「ヤベー、いらんこと言うなよこの豚」と内心思っていただろう。
これはさっきカイオウの証言と大きく食い違う。これで気が付くかヒョウ様!と思われたが当人は・・・
もはや何も聞こえてなさそうですね。そっとしておきましょう。
実はこのギョウコ様は結構好きなキャラクターである。
カイオウにケンの事を報告する時に、わざわざケンの台詞にあわせた顔をしているのだ。顔だけではない、口調もちゃんとケンに合わせている。
秘孔を突かれ瀕死であるにも関わらずだ。思わぬ所で演技派俳優の顔を見せてくれたギョウコ様。
これがケンの台詞を真似て言った時の顔だ。どうだろう、なかなか男前ではないか?
この後のヒョウのツッコミもなかなか良い。
ヒョウ「貴様ぁ、そんな下らぬ事を伝えにわざわざ」
そう、わざわざ伝えに来てくれたのだギョウコ様は。死にかけのギョウコ様がわざわざ伝えてくれたのだ。
カイオウの非道な策略に気が付かせてくれるであろう最後のメッセージを。
しかし・・・それもあっけなくスルーしたヒョウ。折角の男前もこれじゃ駄目ですなぁ。
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